CATL動力電池搭載のディーゼル電気ハイブリッド客船「大湾区一号」が無事竣工

 

2020年8月14日、中国初のガソリン、電気併用ハイブリッドツインハル豪華客船「大湾区一号」の引き渡し式が中国商務工業ホールディングスの海門基地で開催されました。

この客船は、CRRC、中国招商グループ、CATLが共同で開発した直流(DC)電気推進システムを搭載しており、当社も独立した知的財産権を保有しています。リチウム電池とディーゼルエンジンのハイブリッドモードを採用し、当社製の2,520kWh動力電池システムを搭載しています。

「大湾区一号」は、中国船級協会の全面的な支援のもと8ヶ月で完成しました。エコかつ強力なパワーで2020年8月の深圳経済特区設立40周年を祝う予定です。

「大湾区一号」は、全長71.95メートル、幅18.72メートル、計画喫水2.57メートル、座席定員350人、就航速度14ノット、満載排水量1,350トンです。このクルーズ船は、観光などのレジャー・娯楽向けエリアを備えており、新しいハイブリッドパワーモードは超低レベルの排出ガス、公害、騒音といった基準を満たしています。

「大湾区一号」のバッテリーは、船首底部の両側にあるバッテリーコンパートメントに設置されています。各バッテリーコンパートメントにはバッテリーシステムが搭載されており、最新のモジュールレスなCTP技術を採用しています。船全体には144個の高エネルギー密度電池パックがあり、総電力量はハイブリッド車200台分に相当する2,520kWhです。また、バッテリーコンパートメントにはエアコンが設置され、バッテリーに最適な動作温度である25±2℃を維持しています。

電気システムを楽しむ

「大湾区一号」は、深圳、香港、マカオを周遊するクルーズ船です。1日3便、1便あたり4時間の運航を予定しています。観光客に静かで快適な観光を提供するために、40分間の完全な電力運行モードを備えています。深セン湾の両端に充電システムを設置しており、安定した完全電力クルージングが保証されています。

安全性と信頼性

海洋動力電池の最も重要な課題は、高い安全性を確保することです。船舶の正常な航行を確保するためにも、バッテリーが湿気や振動の影響を受けてはいけません。

セルからシステムまで、当社は多層的な監視とアラーム機能により、製品の安全性と信頼性を全方位から保証できます。また、バッテリーパックの設計はIP67保護等級の条件を満たしており、水蒸気、塩害、粉塵による安全上のリスクを効率良く回避します。また、バッテリーパックには中国船級協会の関連規定を満たし、振動、機械的衝撃、模擬衝突、火災などの安全性テストにも合格している非常に硬い鋼鉄を使用しています。

排出削減のパイオニア

ディーゼルエンジンを搭載した船舶は、航行中や入港時に大量の油水や有害ガス、粒子などを発生させます。そして酷い騒音公害を起こし、水域の生態系に深刻な影響を及ぼします。

ハイブリッドクルーズ船の導入により、年間約8トンの一酸化炭素、約10トンの窒素酸化物、約0.2トンの吸入可能粒子の排出削減が見込まれ、環境に大きく貢献すると期待されています。

電気船は主に、内陸の湖や河川、オフショア港で活用されてきました。車両・旅客フェリー、旅客船、港湾タグ、港湾ボート、海上船などさまざまな船舶に応用されています。

内陸の河川や湖では、CATLは長江流域、蘇州内陸水路、新疆の内陸湖で多くの電気クルーズ船や公共サービス船に動力電池を供給してきました。

2019年1月、当社は福建省の中国船級協会武漢規則研究所と戦略的協定を締結しました。本協定の締結により、両者がバッテリーシステムを搭載した船舶の技術基準と水域におけるこれら船舶の応用に関する研究を推し進め、関連バッテリー製品の承認、検査を加速させることになりました。また双方は、資源の共有、技術の協力、サービスの向上における全方位的な協力と交流をさらに強化することで合意しました。

2020年4月、当社は中国船級協会が定めた最新の試験ガイドライン「純電池動力船舶検査ガイドライン」に基づいて認証・認可を取得した中国初の動力電池会社となりました。「大湾区一号」のローンチによって当社のバッテリーシステムが改めて海洋で応用されたことになります。

深圳の沿岸海域に浮かぶ「大湾区一号」

近い将来、当社はより多くの海洋プロジェクトに関わる予定です。具体的には、1000人以上の乗客を乗せる長江クルーズや350人の乗客を乗せる珠江クルーズ、岷江クルーズ、中国初のインテリジェントコンテナ貨物船、純電気内陸公共サービス船、極地探査船、豪華クルーズ船、漁船などにエコな電力を提供する予定です。CATLは完全な電気船舶時代の到来を加速させます。